鎮魂歌

風に抱かれて泳ぐ鳥達の声
啄まれる眠気と静寂に結んだ Negative images.
賑う人混みの中 電話口の声
いつも通りの一刻遅れ そっけない君がいた

でもどこか浮かれた素振りが可愛くて
真っ白いワンピ 澄ました笑顔
想い込め取り出す指輪

溢れるくらい好きだよ
どんなに綺麗でも心までは飾らない君だから
ありのままの僕でいられるんだ

「恋人のようにいつまでもいられたらね」
なんて愚問に思えるほど穏やかに流れる日々
ちょっとずつ膨らむお腹を抱えて歩く
出会った頃と同じ並木に僕らを重ねて

遠く青い空の下 寝転んで
触れ合う指 微笑む君
この時よ永遠になれ…

きっともっとずっと君と一緒にいられると思っていた
打ち明けられた寿命 腫らした瞳が痛々しいよ
でも抱きしめてやれないまま君を突き放したあの夜
だって信じられないよ まだ早すぎる別れの言葉

俺が何をしたっていうんだ
人を殺めたわけでも 大罪を犯したわけでもない
ただ君と幸せであれば良かった
世界中の災厄や不幸は俺が引き受ける
だから君だけは…君だけは…どうか連れて行かないで

この広い星に生まれ君と出会えたこと感謝してる
たくさんの愛の芽には僕が水をあげておくからね
あの日 君が着ていた真っ白に輝くワンピース
「母さんの形見だね」ってほら君によく似た笑顔で
いつか君の元へと旅立ったら聞かせてあげる
この娘との日々の全てを飽きるほどに
いつも通りの遅刻だけど…愛してる


2006.11.23『4年後の未来へ』収録
2009.7.29『The Present』再録


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