ロキソニン

忘れた頃に疼き出す痛みに君の存在を思い出す
ミシン目を開けて フィルムを剥いで ただ無心に飲み込むだけ

はぐれた人の心も似たようなものなのかも知れないね
忘れてしまいたい 消してしまいたい そう意識するほど冒されてゆく

痛みは消えて 傷は開いてて すさんだ風に当たる度
守りたかったものまで汚して 見て見ぬふりで生きてゆくんだ

きっと何かを選ぶ その度にひとつ 捨てるものを選んでいるんだ
薄紅色の月が溶けてゆく 僕から君が消えてゆく

忘れたはずの恋とか友情に小さな憧れを抱いてる
歳を重ねて 熱量は減って 空想で旅に出る毎日

感覚は消えて 感情は残って やりきれぬ思いが溢れて
譲りたくなかったものまで無くして 我関せずで生きてゆくんだ

きっと何かを守る そんな大義名分で 何かを奪う言い訳にするんだ
薄ら笑いで僕を見つめてる それは他でもない僕自身だ

きっと何かを選ぶ その度にひとつ 捨てるものを選んでいるんだ
それが何かを知っていながらも 誰も口にはしないままで
薄紅色の月が溶けてゆく 僕から君が消えてゆく


2019.6.8『colors / ロキソニン』収録


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